セブンスデー・アドベンチスト教団 伝道基本方針

アドベンチストの原点に立ち返って 〜永遠の福音を、今すべての同胞に〜

 第35回教団定時総会からの5年間、教団伝道計画のエイムとして「キリストによる変革をめざして」、またモットーとして「誘える教会、誘う教会員」の言葉を掲げ、伝道計画の具体案として提案された5つの伝道基本方針に沿って福音宣伝の働きを行ってきました。伝道局では、「あ」たたかい教会、「ほ」うしする教会、「う」れしい教理、「ど」ちゃくか(土着化)した教会、「り」きまず(礼拝出席)1割増、と短い言葉で5つの基本方針を表し、最初の文字を合わせて「あ・ほ・う・ど・り」という覚えやすい単語でプロモーションを行いました。全国の教会で5つの基本方針をいつも覚えて伝道計画を立て、活動する助けになりました。

 私たちの教会は1998年12月、教団臨時総会および3教区総会を同時に開催して、日本全体を変則的な教区統合組織として運営することを選択し、内規として教団教区運営ガイドラインを採択しました。この組織修正の主な理由として、これまで救霊に大きな役割を果たしてきた各機関の経営計画を実現するための「基盤整備」、および3教区が一致することによる「救霊使命の推進」があげられました。特に「救霊使命の推進」においては、教団教区を統合することにより、事務所で働く役員や部局長、そして職員の人数を削減することによって、一人でも多くの牧師を地方教会に派遣することについて繰り返し議論され、実際に総会後それが実施されてきました。

 しかし、組織修正後7年を経た2006年1月の第35回教団定時総会においても、なお救霊の顕著な成果を報告することができる状況にはありませんでした。実質的な教勢の指標である礼拝出席者数の微減傾向は現在まで継続し、過去5年間に新たに組織された教会数よりも、設置維持基準を満たすことができず、やむなく集会所・聖書研究会に降格した教会数の方が多かったことはとても残念なことです。

 2003年に第1グループのPMM牧師を支部内の他教団から迎えて始まったパイオニア・ミッション・ムーブメント(PMM)は2007〜2008年には全国19拠点で活動が行われました。しかし救霊数は2006年の45名をピークに減少しており、一時的な成果はみられたものの日本宣教の困難さを支部全体として痛感する結果となっています。

 上記のような結果を踏まえるときに、牧師を教会や伝道地に派遣することによって私たちの教会に与えられている「救霊使命」達成する、という考え方だけでは不十分であることが明白になってきています。教団は2009年度から大きく方針を転換し、それまで世界総会の推奨する対什一人件費率の標準を大きく超えて牧師を教会に派遣していた状況を改めました。過去5年間の伝道局としての取り組みの全体像を振り返るときには、このような教団全体の流れを踏まえた上で評価しなければなりません。

 2010年にアトランタで開催された世界総会大会で選任されたテッド・ウィルソン総理は、その後さまざまな機会を通して世界中の教会に「リバイバルと改革」を訴えています。そのメッセージの中心は、次のエレン・ホワイトの言葉に表されていると思います。

 「聖霊の働きのもとに、リバイバルと改革が行われなければならない。リバイバルと改革は、2つの異なったものである。リバイバルは霊的生活が新しくなること、心と思いの力が目覚めること、霊的な死からよみがえることを意味する。改革は再組織、考え方や理論、習慣や行為の変化を意味する。改革は、みたまによるリバイバルと結合しないかぎり、義のよき実を結ばない。リバイバルと改革は、割りあてられた働きをなすべきであり、この働きをなすのに、両者は融合しなければならない。―レビュー・アンド・ヘラルド・1902年2月25日」

 確かに私たち日本のアドベンチスト教団は、この5年間さまざまな改革を行い、知恵を絞って働いて参りました。しかし今、私たちが日本のアドベンチストクリスチャンとして最も力を注がなければならないのは、本物の改革をもたらす霊的なリバイバルを求めることです。神さまは終末時代に特別な使命を果たす役割を担っているアドベンチスト教会に、「後の雨」のように豊かな聖霊のお助けを与えくださると繰り返し約束してくださっています。組織の改革、意識の変革、ライフスタイルや伝道への取り組みの変化などは、聖霊によってわたしたち一人一人の魂が生き生きとした命に満ちあふれない限り、手にすることはできないのです。働き人の数や能力、すばらしい理論や魅力的な方法に頼るのではなく、アドベンチスト教会の原点に立ち返って、聖霊の神さまだけに頼り、献身を新たにしたいと思います。


2011年~2015年 伝道基本方針

 過去5年間の働きの結果をふまえ、また現在与えられている教団全体の状況をふまえ、教団伝道局として第36回教団定時総会に対し、次の通り伝道基本方針を提案します。この提案は、あくまでも教団全体の伝道に関する基本方針であり、これに沿って今後伝道局は毎年の伝道計画を立案し、さまざまな企画を実行していきます。各教区や機関もこの伝道基本方針に沿って、それぞれの伝道計画を立案することを期待します。

エイム:「アドベンチストの原点に立ち返って」

モットー:「永遠の福音を、今すべての同胞に」

上記のエイムおよびモットーとともに、下記の通り伝道基本方針を提案します。

基本方針:

  • 1) 伝道することこそアドベンチストの喜び
  • 2) 自然に成長するアドベンチスト教会
  • 3) アドベンチストであることの自覚


1) 伝道することこそアドベンチストの喜び

 キリストが公生涯を通じて成し遂げられた大切な働きの一つは、世界宣教のために弟子を訓練し、彼らによって教会を立ち上げることでした。キリストが地上に残していかれたこの教会という組織の存在意義は、全世界に永遠の福音を宣べ伝えることにあります。

 2010年10月2日には、世界中の教会でセブンスデー・アドベンチスト教会の名称採択150周年を記念して特別プログラムが行われました。その目的は私たちの信仰の先輩たちが教会の名前に込めた思いについて考え、アドベンチストの原点である終末の切迫感と、永遠の福音を全世界にのべ伝える三天使のメッセージに対する使命を再確認することでした。すなわち、再臨運動の先駆者たちがアドベンチスト教会を組織した理由も、全世界に永遠の福音を宣べ伝えることだったのです。

 神さまの摂理的なお導きによって、私たちはこの日本という国でキリストの恵みによる救いを受け入れました。キリストの救いを受け入れたものとして、このすばらしい恵みのメッセージを、愛する家族や友人、隣人そして祖国日本の同胞に対して伝えないでいることができるでしょうか。同胞の救いに対して熱意を持って働くことは、日本に住むアドベンチストのクリスチャンとして大きな喜びであり、感謝すべき特権です。

  1. 教会の所在している地域社会に対して、地の塩、世の光となって人々の必要に応える具体的活動を通し、真の希望を与える教会となる。
  2. 教会はよき隣人としての働きだけでなく、終末時代にすべての人々に伝えるべき警告のメッセージを託されていることを自覚し、あらゆる機会と手段を通してその使命を果たす。
  3. ますます世俗化し、都市化する現代社会に生活する人々に福音を伝えるため、特に大都市への集中的、継続的な伝道計画に取り組む。
  4. また、かつてないスピードで発達する技術によって可能になった、さまざまなメディア、特に映像や音声を伴うインターネットを用いた伝道計画に優先的に取り組む。
  5. このような伝道の働きを人生の目的とするアドベンチストとして生きるため、まず聖霊によって満たされることを熱心に求め、主の弟子としての召命と献身を体験する。


2) 自然に成長するアドベンチスト教会

 「自然に成長する教会」の考え方は、多くのアドベンチスト教会を含む世界中100カ国以上の数千という教会を対象にして実施された総合的な統計調査を根拠としています。この考え方は「質(健全度)と量(教会成長)は正比例する」という言葉で説明することもでき、それは聖書とエレン・ホワイトの著書で繰り返し述べられている原則でもあります。現代の教会に与えられた神からのメッセンジャーであるエレン・ホワイトは、神の残りの教会が健全で魅力的な共同体であるようにと、さまざまな書物の中で勧告しています。アドベンチスト教会は、あらゆる国民、部族、民族、国語の人々に緊急に伝えなければならない重要なメッセージを持っています。そのような使命を持つ共同体である私たちが、人々の心を引きつける高い質的特徴を持った健全な姿となることは、神の残りの教会として不可欠な条件なのです。

  1. まず個々の信徒が、日々の生活で定期的なディボーションに取り組むことこそ、教会の霊性維持、および健全な教会を形成するために不可欠であることを自覚し、互いに励まし合いながら取り組む。
  2. 個々の信徒が神さまからそれぞれに与えられている賜物を充分に理解し、それらを最大限に活かすことができるよう、教会が共同体として訓練プログラムに取り組む。
  3. 個々の信徒が、自らを生きた供え物としてささげる真の礼拝、すなわち本当の意味での献身を体験した弟子となることができるような訓練を与えることこそ、牧師、指導者の第一の役割であることを自覚して取り組む。
  4. 真に献身した弟子である信徒が中心となって行われる小グループ(ケアグループ)は、世俗化した現代社会において最も有効な伝道手段の1つであることを理解し、共同体として優先的に信徒リーダーの訓練と小グループ活動の支援に取り組む。
  5. 自然に成長する教会の考え方に基づく、教会の健全度を診断する8要素について、少しでも多くの教会が共同体として短所の克服と長所の育成に取り組む。


3) アドベンチストであることの自覚

 私たちは単にプロテスタントの1教派の一員としてクリスチャンとなったのではありません。ダニエル書と黙示録の預言研究によって始まったアドベンチスト運動の中から、罪の歴史の最終時代に特別な使命を持って集められた「神の残りの民」として世界宣教のために教会を組織したのです。私たちはもう一度この使命に対する召命と責任を誇りを持って自覚したいと思います。そしてその自覚を、預言の霊を通して特別な形で与えられている具体的な勧告に謙虚に従うことによって、誰からも明確に理解できるように喜びを持って表現したいと思います。

  1. アドベンチスト教会の一員として召されていることの感謝と喜びを、人々への愛に基づくクリスチャンとしての奉仕と信仰の歩みの中で具体的に表す。
  2. 聖書に約束されている通りに与えられた預言者の霊によって示された様々な勧告を大切にし、各自の信仰生活及び教会の働きに適用する。
  3. 聖書と証の書を通して与えられているアドベンチストのユニークなライフスタイルを大切にし、その意義を継承する。
  4. アドベンチストの創始者たちがそうであったように、謙虚な姿勢を持って熱心に不変の真理を探求し、福音を漸進的に受け止める姿勢を持ち続ける。
  5. 罪の歴史の最終時代を迎えて、アドベンチスト教会の果たすべき役割を達成するために、リバイバルと改革をもたらすと約束されている聖霊の後の雨を熱心に祈り求める。

 「真の敬虔が私たちのうちに回復(リバイバル)されることは、すべての必要の中で最大の、最も急を要するものです。これを求めることが、私たちの第一にしなければならないことです」(『セレクテッド・メッセージ 1』157ページ)。

 私たちに残されている「時」は長くありません。1日も早く私たちが待ち望んできた主なるイエス・キリストとの再会の日を迎えるために、私たちに託されている使命を熱心に果たしたいと思います。そのためにまず第1にしなければならないことに共に取り組んで参りましょう。

 この伝道基本方針に基づいて具体的な伝道計画を立て、それらを実践することにより、1人でも多くの同胞が主の御許に導かれ、主に栄光が帰せられますように。